4つのチャレンジ

退院後の生活イメージに応じて、供にリハビリテーションを取り組むため、
当院リハビリ科の強みである4つのチャレンジを掲げています。

歩きたい

「もとのように歩けるようになりたい!」多くの患者さんが希望されます。
脳卒中などにより足が不自由になると、歩行練習の最初の頃は、身体のあらゆる部分を最大限に発揮しようと精一杯となります。理学療法士はこのような非効率な部分を詳細に分析し、障害に応じた歩行能力の獲得という目標を設定します。現在当院では症状に応じてロボットや補装具等を装着、調整しながら身体機能を最大限に発揮してもらい、様々な日常生活動作能力向上の波及効果を目指しています。

HAL®による運動の学習

HAL®(Hybrid Assistive Limb®)は装着した人の「動きたい」という「意志」と連動して動く革新技術で、身体に装着して、立ち座りや歩行を支援するサイボーグ型ロボットです。

当院では、2012年6月から道内脳神経外科で最初に導入し、主に脳卒中や脊髄損傷等で歩くことが困難の方に使用しています。「立ち上がろう、歩こう」という「意志」をHALが読み取り、体を支え、脚を前に振り出すことを支援し、残された力を引き出してくれます。

更に、2019年からは、下肢や脊柱の骨折等「立ち座り」が困難な方には、体幹・下肢運動をアシストする腰タイプ自立支援用も使用しています。装着して体幹動作や立ち座り動作を繰り返すことによって身体そのものの機能向上を促し、HALを外した状態での自立度を高めることを目指しています。

HAL®自立支援用両下肢タイプ
HAL®自立支援用両下肢タイプ
HAL®自立支援用腰タイプ
HAL®自立支援用腰タイプ

免荷式歩行トレーニング

免荷式歩行トレーニングシステム(BWSTT)は歩行が不可能な方であっても、ハーネスで身体を上方に牽引し、理学療法士が足の振出しを補助して、トレッドミル上で繰り返し振出しを行うことが可能となります。ご自身の力での振出しが不可能な片麻痺者の方でも使用可能であり、繰り返し行うことが実現できるため、運動機能の回復が期待されています。

免荷式リフト(POPO)は、場所を選ばすリフト機能で身体を吊り上げ、どのような対象の方でも、下肢にかかる体重の負荷を軽減しながら歩行訓練を実現できます。ハーネスが身体をしっかりと保持し、バランスを崩しても転倒のリスクが軽減されます。

BWSTTやPOPOは、ロボットスーツHALや下肢装具との組み合わせによる効果も期待でき、当院では積極的に活用しております。

免荷式歩行トレーニングシステム(BWSTT)
免荷式歩行トレーニングシステム(BWSTT)
免荷式リフト(POPO)
免荷式リフト(POPO)

筋電計測による動作分析

TS-MYO
筋電計測装置「TS-MYO(ティーエスマイオ)」

筋電図や加速度計等のセンサーを利用した適切な障害像の把握を踏まえ、装具カンファレンスで代償が必要な関節部位と制御方法を検討し、ロボットスーツHAL練習や治療用下肢装具療法を行います。更に必要性に応じて、退院後に使用する下肢装具の作成を行っています。

下肢装具相談(ブレース・クリニック)

各種不適合例
各種不適合例

下肢装具は、残存機能を最大限に発揮し、移動等の安全な日常生活動作を支援するための道具です。適切に装具を使用することが安全・快適な生活を送ることにつながります。
装具の破損・摩耗・写真のような不適合のご相談についてはブレース・クリニックで対応しております。
詳しくは下記の「装具のしおり」をご覧いただくか、お問い合わせください。

ブレース・クリニック

毎週水曜日 13:00〜
理学療法士と義肢装具士が装具の相談を受け付けております。
ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

患者専用

0120-024-363

一般電話

011-685-3500

自分でしたい

リハビリを受ける方に目標や動機がなければ、リハビリの効果は低くなってしまいます。作業療法では、自分でできることの喜びを取り戻し、自分らしく暮らしていけるように、運動麻痺や高次脳機能障害への回復訓練、生活場面での動作練習、環境調整の提案を実施しています。「不自由になっても、自分らしく、できることは自分でしたい!」という気持ちを持って、暮らしていくことを目指しています。

電気刺激療法・高次脳機能バランサー

運動麻痺の回復訓練として、従来のリハビリテーションに電気刺激療法を組み合わせることで、さらなる麻痺の回復が期待できます。当院では、随意介助型電気刺激の「IVES」と低周波治療器の「ESPURGE」を、症状に応じて使い分けています。
また、高次脳機能障害への訓練の補完として、「高次脳機能バランサー」を導入しています。脳機能をバランスよく改善できるよう開発されたもので、認知症予防として活用することもあります。

IVES
IVES
高次脳機能バランサー
高次脳機能バランサー

メンタルコミットロボット「パロ」

メンタルコミットロボット「パロ」

2013年8月よりメンタルコミットロボ(以下パロ)を導入しております。 「パロ」は多数のセンサーや人工知能の働きによって、人間の呼びかけに反応し、抱きかかえると喜んだりするほか、人間の五感を刺激する豊かな感情表現や動物らしい行動をし、人を和ませ、心を癒します。主に作業療法士が通常のリハビリと併用しながら、入院されている方の症状の緩和を目指しています。

期待される効果

  • 心理的効果(リラックス、動機の増加)
  • 生理的効果(脈拍や血圧の安定)
  • 社会的効果(患者同士や看護者とのコミュニケーションの増加等)

自動車運転の評価

自動車運転の評価

手足の麻痺や高次脳機能障害の影響で、自動車を運転することが難しくなる場合があります。
当院では、入院中の運転を希望する患者さんに対して、注意力などの高次脳機能の検査を行い、自動車学校の教官と教習車で実地運転の評価を実施しています。

食べたい

加齢などにより「噛む」「飲み込む」「話す」などの口腔機能が衰えることで、食べる機能が低下し、心身の機能低下にまで繋がる恐れがあります。言語聴覚療法士は看護師等と伴に入院当日より食べる力の評価を進めております。

入院当日からの食べる力の評価

嚥下造影検査(VF)
嚥下造影検査(VF)

入院当日からの嚥下機能の評価を看護師等と共に行い、専用の車いすを用い被ばくの少ない装置の下、状況に応じて嚥下造影検査(VF)を実施しております。検査入院によるVF検査も行っております。問い合わせは下記電話番号へご連絡ください。

検査入院によるVF検査の流れ

検査入院当日
嚥下機能評価

実施前に言語聴覚士による簡易検査

VF検査の実施

担当医と言語聴覚士で結果を確認

食事評価(昼食)

病棟看護師による評価

経過観察

全身状態を観察します。

検査翌日
担当医による
VF検査結果の説明

リハ総合実施計画書交付

嚥下指導

言語聴覚士等スタッフによる指導

退院

元気でいたい

住み慣れた地域で、その人らしいいきいきとした生活が送れるよう、保健・医療・福祉・介護などの機関とリハビリテーションの立場から支援する活動を取り組んでいます。

地域リハビリテーション支援

私たちは病院でのリハビリの要素を退院後の生活機能維持向上・介護予防に役立てたいと考えています。地域リハビリテーション活動支援事業として、通いの場支援や地域ケア会議にも積極的に参加しながら、地域の自主体操グループ等の活動を支援しています。

地域リハビリテーションの相関図 地域リハビリテーションの相関図

健康講話の活動

「腰痛予防」の講話

現在リハビリテーション科では、フレイル(虚弱)予防の視点が重要であると考えており、健康寿命延伸に向けた健康講話の活動を行っています。
「腰痛予防」の講話では50名を超える参加があり、腰痛の原因、ストレッチ方法、ひどくなったときの対処法などを解説しました。今後も手稲区民の健康寿命延伸に向け貢献できるよう取り組んでいきたいと考えています。