変形性脊椎症(頚椎症、腰椎症)
人間の背骨は寝ているとき以外は常に身体を支えています。頚部は常に頭部を支え、腰部は常に身体を支えています。 成長期を過ぎ、成人としての身体が形成された後は、年齢の経過により徐々にその負担により変形が始まっていきます。隣接する背骨の動きは椎体部及び関節突起部にて主に起こるため、変形の主体も同部に集中します。その程度は年齢、骨の状態(骨密度)、姿勢、背骨に加わる負担の程度、生活様式、仕事の内容などによって、さまざまであり、個人差が大きいものです。
通常、椎体間の動きの継続により椎体の縁に骨棘と呼ばれる骨組織の新生が始まります。椎体の前方に生じた場合には大きな問題となる事は多くはありませんが、椎体の後方に生じた場合、ある程度を超えると脊髄、神経を直接圧迫する事になります。何処がどの程度圧迫されるかによってどのような症状が出現するかが決定されますが、頚椎に生じた場合には頚部痛、肩痛、上肢のしびれ感、疼痛、上肢・手の筋力低下、握力低下などが出現します。腰椎に生じた場合には、下肢のしびれ感、疼痛が主な症状となりますが、頚椎と比較すると腰椎は神経の通るスペース(脊柱管、椎間孔など)が広いので、神経が圧迫される頻度は少ない傾向にあります。
人間が高齢になればなるほど、この状態は出現し易くなり、ある意味高齢者には必発であるとも言えます。症状が軽度であるうちは投薬、安静(外固定を含め)などにて症状の改善を認める場合がありますが、症状の改善が認められない場合、症状が悪化していく場合、激しい疼痛にて日常生活、仕事を含めた社会生活に支障を来す場合などには外科治療が必要となります。
変形性腰椎症
67歳男性
第1/2、2/3、4/5腰椎に椎間板の変性、骨棘の突出、黄色靭帯の肥厚を認める
医師紹介
脳神経外科