脊椎・脊髄疾患
脊柱(せぼね)は頭部(頭)、四肢(手足)、体幹(胴体)を支えるという身体の支持性や可動性の中心を担うとともに、内部に脊髄という大切な神経組織を有し、それを保護するという、非常に大切な役割をはたしています。
脊柱は椎骨と呼ばれる骨組織が縦に積み重なった構造をしており、通常、頚椎(首の骨)は7個、胸椎(背中の骨)は12個、腰椎(腰の骨)は5個存在し、それぞれに番号が付けられています。最も下の腰椎(第5腰椎)の下には、骨盤の中心をなす仙骨と呼ばれる椎骨が1個存在し、その下には尾骨(俗にいう、尾てい骨)が3〜6個存在しています。
それぞれの椎骨は、前方の脊柱の柱の主体となる椎体、外側および後方に存在する横突起、棘突起、椎弓から形成され、内部に脊髄が存在する脊柱管として成り立っています。それぞれの椎体の間には椎間板と呼ばれる軟骨組織が存在することで上下の椎体を連結して、背骨に加わる衝撃を吸収する役割も果たしています。
上下の椎体は前方では椎間板にて連結されていますが外側部では上、下の関節突起にて連結されています。上、下の関節突起部がずれることによって椎体に運動性が生じ、背骨が全体として前後に曲がったり(前、後屈)、左右に傾いたり(側屈)、捻れたり(回旋)することができます。
頚椎(正常所見)
24歳女性
椎体、椎間板などには異常はなく脊髄の圧迫も認めない
腰椎(正常所見)
28歳女性
椎体、椎間板などには異常はなく脊柱管の狭窄も認めない
脊椎・脊髄疾患による症状
脊柱(せぼね)に生じる疾患によって引き起こされる症状には様々なものがありますが、よくみられるものとしては局所(頚部、背部、腰部など)の痛みと四肢(手、足、上肢、下肢)のしびれ、痛み、脱力などがあります。症状が進行すると歩行困難、排泄障害(排尿、排便)などがみられることもあります。
局所の痛みとしては、頚部痛、背部痛、腰痛などがあります。痛みは急に生じる急性疼痛と、慢性的に生じる慢性疼痛に大まかに分けられます。急性疼痛は外傷や外力、炎症などによるものが多く、慢性疼痛は加齢や長期間の疲労や負担、脊柱の変形などによるものが考えられます。痛みの性質によっては治療法が異なる場合もあります。
代表的な脊椎・脊髄疾患
代表的な脊椎・脊髄疾患としては、以下のようなものがあります。
末梢神経絞扼性疾患
手、上肢の末梢神経が周囲の靱帯、筋肉などの組織によって圧迫され、しびれ、疼痛、脱力などを生じるもので、代表的なものに手根管症候群(正中神経)、肘部管症候群(尺骨神経)があります。手のしびれ、上肢のしびれの原因になっている場合は決して少なくなく、治療の時期が遅くなければ多くの場合で症状の緩和が期待できます。
医師紹介
脳神経外科