靱帯骨化症(前縦靱帯、後縦靱帯、黄色靱帯)
脊柱靱帯の構造
背骨には多くの靱帯組織が付着して、“柱”としての脊柱の構造を形成しています。椎体の前方には前縦靭帯が、椎体の後方(脊髄の前方)には後縦靭帯が存在し、それぞれの椎体を上下方向に連結しています。脊髄の後方には黄色靭帯が存在し、上下の棘突起を連結しています。何らかの原因により靱帯が肥厚して骨のように固くなる(骨化)する事で周囲の組織を圧迫して様々な症状の原因となります。原因は未だに特定はされていませんが、遺伝的要因、性ホルモンの異常、カルシウムやビタミンDの代謝異常、糖尿病、肥満、加齢、全身的な骨化症などが影響しているという説があります。
前縦靱帯骨化症
前縦靱帯は椎体の前方に存在しており、前縦靱帯骨化症が頚椎に生じた場合には前方にある食道を圧迫して、物の飲み込みが悪くなることがあります。前縦靱帯骨化症は頚椎に多い傾向があります。
後縦靱帯骨化症
後縦靱帯は脊柱管の内部で椎体の後部に存在し、後縦靱帯が骨化(OPLL)するとその部位での脊髄を圧迫して手足のしびれ感、筋力低下、歩行障害などの症状が出現します。後縦靱帯骨化症は頚椎、胸椎に発生する事が多い傾向にあります。
黄色靱帯骨化症
黄色靱帯は脊柱内の内部で後方の椎弓の間に存在し、黄色靱帯が骨化すると、その部位での脊髄を圧迫して脊髄の症状(手足のしびれ感、筋力低下、歩行障害など)が出現します。黄色靱帯骨化症は胸椎に発生する事が多い傾向にあります。
後縦靱帯骨化症(頚椎) 68歳女性
第2~7頚椎までの後縦靭帯骨化症にて脊髄が強く圧迫されている
手術後、脊髄の圧迫は消失している
後縦靱帯骨化症(頚椎) 58歳男性
第2~5頚椎までの後縦靱帯骨化症にて脊髄が強く圧迫されている
手術後、脊髄の圧迫は消失している
医師紹介
脳神経外科